RC造やS造ALC仕上げの建築に、外壁防水という新しい視点を提案し、建築の長寿命化に貢献してきたアロンウオール。しかしタイル張り仕上外壁は、タイルの意匠やテクスチュアを活かした補修が求められ、アロンウオールでは対応できませんでした。そこで開発されたのが、透明の塗膜でタイルと目地をまるごとコーティングして、アロンウオール同様の外壁防水を可能にした「クリアウオール」です(2008年上市)。責任施工で対応できる対象にタイル張り仕上げ外壁が加わったことで「トータルメンテナンス」ができるようになりました。また、タイル張り仕上げ外壁の課題でもあったタイル剥離の予防にもクリアウオールによる目地防水は有効です。(東亞合成の実証実験により裏付けられています。)
実際、タイル張り仕上げ外壁は目地モルタルの防水が重要になります。タイル張り壁面に目地が占める面積は14~19%と割と大きく、防水的に見ると目地は無防備な状態で放置されており、雨水浸入の入り口となります。特にタイル裏側への水の浸入は、目地モルタルや下地モルタル、躯体のRCの劣化を助長し、タイル剥離を引き起こします。
外壁タイルの表面処理剤として多用されているシラン系吸水防止剤や撥水剤は、タイルの意匠を損なうことはないが、ひび割れ部では防水効果はなく、長期にわたる目地の保護もあまり期待できません。一方、クリア系の塗料は割れやすく、剥がれやすい問題がありました。また、水性クリア塗装材は吸水膨張による白化や黄変の懸念もあります。「クリアウオール」は、こうした課題にも応えたタイル張り仕上げ外壁面を防水保護する工法で、耐久性の高い柔軟な透明塗膜でタイルのひび割れや目地モルタルからの雨水の浸入を防ぎ、防水とタイル剥離の予防に効果的に働きます。
浮いているタイルは張替えますが、割れたタイルでも浮きがなければ張替える必要はありません。タイルや目地の汚染を防止して、タイル張りの美観を長く美しく保つこともできます。更に「クリアウオール」を施工すると目地の色が濃くなりタイルのコントラストがはっきりすることで、まるで新設のタイルに近い状態へ戻ったように感じられます。また予防保全として新築からあらかじめ施工しておくことも、建物の資産価値を守りLCCを低減できる視点から提案しています。