東亞合成では、製品の性能を検証するために施工物件の経年調査を行ってきた。その一例を紹介しましょう。
台風が多い九州、沖縄では、シート防水材が強風で引き飛ばされる事故が多く、設計者の間では塗膜で防水する密着工法の「アロンコートSQ」への期待が高いのです。その耐久性を実証するため、実際に九州・沖縄で施工後13~16年を経過した現場(計6カ所)を外観調査し、さらに一部、塗膜を剥ぎ取り、付着強さ、ひび割れ追従性、耐疲労性の経年変化の調査を行っています(2007年)。その結果はいずれの性能も劣化は少なく、「アロンコートはSQ」は風雨が強い過酷な条件下でも15年間は性能が維持できることが実証されています。
通常のマンションでは大規模修繕工事は築後13年ですから、屋根防水もこのタイミングで改修されることが望ましいのです。「アロンコートSQ」であれば13年間以上防水性能を保つことが可能で、ライフサイクルコストの面からも優れた防水材です。
写真左は熊本県山鹿市の小学校(1990年施工)。写真右は沖縄県那覇市の保育園(1993年施工)。
物件名 | 区分 | 経過年数 | 採取サンプルの膜厚(mm) | ゼロスパンテンション伸び量 |
---|---|---|---|---|
A施設 | 新築 |
15.5年 |
1.6 |
健全部:4.2mm |
B小学校 | 改修 |
16.5年 |
2.1 |
健全部:4.2mm |
C中学校 | 改修 |
15.5年 |
1.7~1.8 |
健全部:6.6mm (保護層損傷部:4.8mm) |
D中学校 | 改修 |
15.5年 |
1.5~1.6 |
健全部:4.2mm (保護層損傷部:2.4mm) |
Eセンター | 新築 |
16.0年 |
1.2~1.4 |
健全部:4.1mm (保護層損傷部:3.4mm) |
F保育園 | 新築 |
13.5年 |
1.7 |
健全部:5.0mm |
初期塗膜 | 1.9 |
12.1mm |
測定は公的機関である日本塗料検査協会で2007年に実施。ゼロスパンテンション伸び量は初期塗膜に比べ半減しているが、健全部で4.1㎜、保護層損傷部でも2.4mmを保持していた。
トップコートの減耗状況
下地ひび割れに対するアロンコートSQの追従性
最大1.0mm幅のひび割れに対しても破断することなく追従し、アロンコートSQは約15年経過後においても下地のひび割れ挙動に対する良好な追従性を維持している。